2008年10月19日日曜日

竜馬がゆく(残り27冊)

竜馬がゆく、読み終わりました。

いい小説でした。
最後は半泣きになりながら読みました。
最近涙もろくなりました。

なぜ、竜馬は幕府を倒そうとしたのか。

当時は、天皇を主体として政権を立てるべきと考えていた勤王派と
それとは逆で、やはり政権担当能力は徳川幕府しかないと考える佐幕派
がありました。

竜馬は当初は単純な勤王派だったんですが、勝海舟やいろんな先見性の
ある人物と出会い、アメリカやイギリスなどの海外事情を聞いたことから、
違った意味で討幕を目指すようになりました。

当時、政治を担当できるのは能力ではなく世襲で決まり、身分が低い武士
は意見を言うことも、大名と話すこともできなかったそうです。

竜馬のいた土佐藩はさらに身分制度がすごくて、土着の武士である郷士と
徳川方に味方し、関ヶ原の功績により領地を与えられた側の武士である上士
との身分は同じ武士でも相当に差があったとあります。

そういう環境だったからか、身分制度に左右されず自分の能力と志によって、
国政に参加できる可能性のある、海外の議会制度に魅力を感じ、それを実現
させたい、それには幕府があっては実現できないという考えから、討幕を
現実的に考えるようになったようです。

あとは、諸外国に対しての幕府の弱腰な政策によって、日本が乗っ取られて
しまうことに危機感を強くもっていたようです。

なぜ、武力による政権交代でなく、実現の難しい無血革命である大政奉還
をめざしたのか。

諸事情あるみたいですが、一番の理由となったのは列強の存在だったようです。

幕府側にはフランス、薩長側にはイギリスがついていました。
戦争が起これば、それぞれは各国に金銭や武器など大量の支援を求めます。
勝ったほうはその支援の見返りとして、領地の要求や実質的な植民地とする
などの属国化が行われる恐れがあると竜馬は考えていました。

それをさせないためには、大政奉還しかないという強い思いがあったようです。

大政奉還を実現させた後、竜馬は暗殺されました。
この小説は最後、このように結んでいます。

天に意志がある。
としか、この若者の場合、思えない。
天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命
がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした。
若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押しあけた。

竜馬がゆく⑧
著 者:司馬遼太郎
発行所:文芸春秋
出版日:1998年10月10日

家康が乱世をおさめて300年の泰平の基礎を築いたのも、歴史への功績である。
いまその世襲政権をみずからの手で終息させ、即座にあたらしい歴史を打開する
とすれば、家康以上の大功であり、徳川家は二度にわたって歴史に貢献すること
になる。思うてもみられよ、古今東西、兵戦を用いずに乱をおこさず、ただ国
と民のためのみを思ってその政権を他に譲った例があったか。
そのかつてなかった例を日本においてひらく名誉を徳川家はもたれよ。

このふたりはただ二人だけの合作で歴史を回転した。
竜馬が企画し、慶喜が決めた。

おれは日本をうまれかららせたかっただけで、生まれ変わった日本で栄達する
つもりはない。
こうゆう心境でなければ大事業というものはできない。おれが平素そういう心境
でいたからこそ、一回の処士にすぎぬおれの意見を世の人々も傾聴してきてくれた。

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